SMテレフォンセックスを最高に気持ちいい性体験にするためには、なんといっても事前の準備が寛容だ。備えあれば憂いなし……SMテレフォンセックスの成功はどれだけ用意周到であるかにかかっている。
もちろん、用意周到であるだけでSMテレフォンセックスがうまくいくというわけでもない。ときには、SMテレフォンセックスの流れに応じて、SMテレフォンセックスのための準備をまるごと捨て去って、臨機応変に対応しなければならないということもある。
いや、ことSMテレフォンセックスにおいては、繋がったテレクラSM女性に応じて可能な限り流動的であるべきだ。台本どおりにプレイすることができない。これこそがSMテレフォンセックスの醍醐味であり、快楽の真髄でもあるだろう。即興性。これを捨てた人間にSMテレフォンセックスを楽しむことはできない。
だが、そういった、テレクラSM女性とのやりとりという領域ではない、即興性や臨機応変な態度が求められるのではない領域においては、SMテレフォンセックスのために徹底的に準備すべきことがある。
それは、なにか。ずばり「アナルオナニーの準備」である。アナルオナニーの準備を怠るものは、SMテレフォンセックスの快楽を逃すことになる。
アナルオナニーの準備は、いわば、SMテレフォンセックスという快楽建築物の一夜城を見事な天守閣にまで導くための土台のようなものである。
一分の隙もない水も漏らさぬアナルオナニーの準備という堅固な土台のうえで、自由自在にSMテレクラで繋がった女性とSMテレフォンセックスを繰り広げる。これがSMテレフォンセックスを盤石にし、快楽の可能性を開き、絶頂地点をより高く遠い場所にまで飛躍させる秘訣なのだ。
SMテレフォンセックスで最高のテレクラ女王様と電話回線が繋がったとする。目眩がするような罵倒の嵐のなかで、手も触れていない陰茎はギンギンに勃起している。ここで、陰茎をこすりあげるやつは、SMテレフォンセックスプレイヤーとしては二流だ。
いや、性癖もあるだろうから、陰茎をこすりあげるSMテレフォンセックスプレイヤーのなかに超一流のSMテレフォンセックスプレイヤーがいることを否定しまい。
だが、それを考慮にいれたとしても、SMテレフォンセックスをプレイするにあたって、アナルオナニーの楽しみを知らないというのは、人としての喜びを知らないのに等しいと私は考えている。
電話回線を通した最高の罵倒!自分の存在を根底から覆され、ひっくりかえされた最低以下の実存の上に言葉でもって唾を吐きかけられ、精神の睾丸を蹴り飛ばされ、不可視の首をぎりぎりと首輪がくらいこむその瞬間、ペニスをこするのではなくアナルを開け!
私のSMテレフォンセックスにおける基本スタンスがこのようなアナルオナニーを重視したものになったのは、やはり、実際のSMにおいてディルドを用いた女王様に激しく罵られながらアナルを掘られるという得難い経験があったからなのだろうか。
はじめてのSMテレフォンセックスが不甲斐ないものに終わったのは、私がアナルへの刺激に関する配慮を怠っていたからだ。
あれほど快楽的だったペニバンを装着した女王様にアナルをつかれまくるという体験を経ていながら、アナルオナニーの準備をしていなかったというのは、手落ちだ。まったくSMテレフォンセックスプレイヤーとして未熟であったといわざるをえない。
不満足で終わったSMテレフォンセックス。普通であれば、ここでSMテレフォンセックスをやめてしまうものがほとんどだろう。だが、私は満足のいくSMテレフォンセックスをプレイするにはどうしたらいいかを考えはじめた。そして、SMテレフォンセックスの現場のうえで試行錯誤を重ねた。
なぜ、すぐにやめてしまえばいいSMテレフォンセックスを諦めず、試行錯誤を重ねたか。私が普通ではない性欲を持っており、異常性癖を追求せずにはいられない変態であったからだ。私は私の変態性をどうしても無視することができなかったのだ。
試行錯誤のすえに見出されたのが、アナルオナニーだった。あっけない答えは、はじめから自分のアナルにあった。アナルははじめから「ここだよ」と菊門を開閉させながら私に呼びかけていたのに、それを長らく見つけ出すことができなかったとは、いやはや、とんだ青い鳥である。
アナルオナニーをしながらのSMテレフォンセックスを開始してからの尋常ではない快楽については言葉にすることができない。ただ、アナルオナニー以前と以降とでSMテレフォンセックスというものが根本的に違うものになったと言うことしかできない。
私としては、いますぐ正しいアナルオナニーの方法を身に着けてほしいということしか言えない。そして、アナルオナニーをしながらのSMテレフォンセックスをぜひとも実践してほしいと。
SMテレフォンセックス開始前からじっくりとアナルをほぐし、アナルオナニーの快楽の高まりに応じてプレイを開始し、SMテレクラの女王様の言葉責めを堪能しながらドライオーガズムへと到達する。この凄まじいエクスタシーに関しては言語に絶する領域に属するので、実際に気を失うような快楽の只中で溺れていただきたいと思う。
アナルオナニーをしながらのSMテレフォンセックスは、単純に陰茎をこすりあげる快楽とは比較にならない。アナルオナニーをしながらのSMテレフォンセックスの快楽を知ってしまったら、もう、それを知る前の自分には戻れない。
アナルオナニーをしながらのSMテレフォンセックスという常軌を逸したプレイを知ってしまったのは、私にとっては不幸でもあったのかもしれない。
快楽主義者として、そのプレイの渦中においてはこれ以上ない幸福があるのは確かです。ですけれども、プレイ終了後、私に襲いかかってくるのは、SMテレフォンセックスをしていない時間の退屈さと空虚さです。SMテレフォンセックスをしていない時間、私は自分が少しも生きていないと感じる。
だから、私はSMテレフォンセックスをやりつづけることしかできない。それも、アナルオナニーつきの過激なSMテレフォンセックスを。私はいつもSMテレクラとSMテレフォンセックスのことを、考えている。
亡霊が、自分が生きていた時間のことをずっと反復して考えるように、私は自分が生きている唯一の時間であるSMテレフォンセックスのことを、アナルオナニーつきのSMテレフォンセックスのことばかり考えている。
アナルオナニーつきのSMテレフォンセックスをしていない間、眼もうつろだ。気がつくと、アナルに手が伸びている。アナルオナニーをしてはいけない場所であやうく指先をアナルに突っ込みそうになる自分に怯える。駄目だ、こんな場所でアナルオナニーをしては!どこか、SMテレフォンセックスがプレイできる場所を探さなくては!私は音のもれない個室にかけこむ。震える手でSMテレクラの番号に電話をかける。いけない、これは完全に中毒だ、SMテレフォンセックス依存だ……。
そこまでわかっていながらも、私はSMテレフォンセックスをやめることができない。おそらく、私は命ある限りSMテレフォンセックスにとらわれつづけることになるだろう。おそらく、それは私の魂に刻み込まれていた運命なのだ。
よろしい、だから、私は運命に従おう。その運命のために、最高のSMテレフォンセックスのために生きよう。私はそう決めた。だから、SMテレフォンセックスのための準備を怠らない。最高のSMテレフォンセックスを成功させる秘訣であるところのアナルオナニーに対する準備を決しておろそかにはしない。
私は自分の生を全力で生き抜きたいのだ。ドライオーガズムのさなかで、SMテレクラの女王様に罵られながら。